シンポジウム2010「iPS細胞研究の最前線」へ行ってきた。


10/2 新宿で、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が主催する一般の方対象シンポジウム2010「iPS細胞研究の最前線」が開催され再生医療に興味があったのでいってきました。

聴講者の人数はざっと数千名でしょうか、大手企業の株主総会の会場を思わせる場所で満杯。開演20分前に到着したときには、すでに全体の80%以上が埋まっている状態です。

内容としては以下の3名の先生の講演でした。
14:00-14:30
iPS細胞研究の進展と課題
山中伸弥 教授
14:30-14:50
「iPS細胞を用いたパーキンソン病治療の開発」
高橋淳 准教授
14:50-15:10
「iPS細胞技術を用いた糖尿病・慢性腎臓病・肝不全に対する治療法開発にむけて」
長船健二 准教授

「患者さん由来のiPS細胞を患部細胞に分化誘導し、その患者さんの病態を再現させることにより、病気の原因やメカニズムの解明を目指しています。また、患部細胞を用いて薬剤の効果、副作用や毒性検査を実施する方法を開発するための研究も推進しています。このような研究により、新しい薬や治療法の開発が可能であると考えています。」

つまり、おおよその用途としては、以下の用途に期待されています。

1.ヒトの皮膚から細胞を取り出し、iPS細胞を作る
2.その細胞はリセットされた状態なので、同じ性質を持つ細胞を人工的に
 増殖が可能
3-1.病気のヒトの細胞を利用することで、薬の開発が効率的に開発可能
3-1.病気のヒトに自分の細胞を移植することで、安全に機能回復

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数少ない症例の難病の心臓疾患であっても、その患者さんを実験台に臨床試験はできませんし、数十年経過した後発症するような病気のメカニズムを研究したり、製薬会社の立場に立つと利益の出そうにない薬の開発は当然後回しです。それもiPS細胞を利用すれば、効率よく新薬の開発が可能です。

 当日は、医療関係者・製薬関係者だけでなく、治療法が確立していない
難病に冒された方やその家族の方と思われる参加者が多数みうけられ、周囲を見回すと記入するアンケート用紙には文字があふれんばかりの内容
が。この研究に無数の人々が期待をしていることが体感できました。きっと中には、志半ばでお亡くなりになるかたもいらっしゃると思いますが、ひとつでも早期に医療現場に活かせるようになることを願ってやみません。

いつか、いや数年先にはこの技術のお世話になる時期がやってきます。
詳しくは入門書を一読されることをおすすめします。
また、昨年は京都、今年は東京、以後1年おきに開催場所を変えて、iPS細胞研究の最新情報を一般の人にも講演されるそうです。来年は京都の予定ですが、今回と同様にUstreamで実況中継もされると思いますので、機会があれば。

FAQ等も掲載されていますので、興味のある方はどぞっ。
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/index.html

こんな書籍もあります。

http://www.amazon.co.jp/iPS%E7%B4%B0%E8%83%9E-%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E7%99%BA%E8%A6%8B%E3%81%8C%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%82%92%E5%A4%89%E3%81%88%E3%82%8B-%E5%B9%B3%E5%87%A1%E7%A4%BE%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E5%85%AB%E4%BB%A3-%E5%98%89%E7%BE%8E/dp/4582854311/ref=pd_bxgy_b_img_b